こんにちは、ボイストレーナーの金子です。
最近、公式ラインの読者さんからこんな質問をもらいました。
「家だったり、風呂場では歌いやすいんですが、
カラオケに行くと声が出しづらくなります。どうしたらいいですか?」
これ、たぶん歌が好きな人なら一回は経験する”あるある”ですね。笑
実は、僕もまったく同じ経験をしてます。
家だとリラックスして楽に歌えるのに、
カラオケになると途端に高音が出しづらくなったり、音程が取りづらくなったり、、
しかもその原因も分からないから、対策のしようもなくて途方に暮れていたんですよね。笑
ただ、僕自身レッスンで”あるトレーニング方法”を習ってからというものの、
環境に左右されずに、どんな場所でも絶好調で歌えるようになりました。
カラオケでも、家でも、スタジオでも、ライブでも。
どこでも同じ調子で楽に高音も出るし、声量も出るし、音程もピッタリ取りやすくなったんですね。
だからこそ、そのトレーニング方法を今日は共有したいなと思います。
今日の内容は、本当に超重要です。
ぜひ最後までゆっくりしていってください。
目次
カラオケだと上手く歌えない理由
まずカラオケだと上手く歌えない原因ですね。
これはいろいろありますが、一番の大きな理由は
結論から言うと、カラオケに行くと高音が出しづらくなるからです。
基本的に高音が出しづらくなると、その時点で発声に余裕がなくなるので
スタミナもすぐなくなるし、音程も取りづらくなります。
すると今度は表現どころではなくなって、
抑揚もつけられなくなったり、声質も崩れたり、、
と負のスパイラルに入ってしまうんですよね。
じゃあ、なんでカラオケだと高音が出せないのか?というと、
理由はシンプルで、カラオケで歌うと
発声(声の出し方)のバランスが崩れるからです。
特に、地声と裏声の筋力のバランスが崩れることで、
高音が出しづらくなります。
そもそも楽に高音を出しやすい状態は、地声と裏声が繋がった状態
なんですね。
最近だと、ミックスボイスなんて呼ばれたりしているスキルです。
【参考音源:ミックスボイス(単体)】
そして、そのミックスボイスが習得しやすい条件というのは、
地声と裏声の筋力のバランスが等しく整った状態なんですよ。
でもカラオケで大声で歌うとこの地声と裏声のバランスが
崩れてしまうんですね。
本来、僕らの地声と裏声のバランスで言うと、
普段使っている地声が発達していて、使わない裏声が弱いことが多いんですよ。
【普段の発声バランス】
で、その状態で、大きな声で歌うことでさらに地声の筋肉が働いてしまい、
結果的に地声>>>>>裏声(筋力)といったふうに、
発声のバランスがさらに悪くなってしまうんですね。
だから、家で上手に歌えてもカラオケだと上手く歌えなくなることがあるんです。
じゃあどうすればいいのか?というと、
地声と裏声のバランスを整えて
発声バランスを整えていくことが大切になってきます。
【地声と裏声のバランスが整った状態】
※高音が出しやすい状態
地声と裏声のバランスを整える
じゃあ、どうやって地声と裏声の筋力バランスを整えていくのか?
というと、2つのステップがあります。
① 分離
② 強化
さっそく専門用語が出てきたんですが、全然難しくないので安心してください。
分かりやすく言うと、
① 分離で、発声の癖をとって、
② 強化で、喉の筋トレをする
声の癖をとって、喉の筋トレをする。
これだけです。
① 分離
分離では、発声のクセをとっていきます。
具体的には
喉の筋肉などのパーツを、一つ一つバラバラに動かせるようにトレーニングしていきます。
そもそも僕らの喉には、普段の話し方や歌い方でついてしまった「クセ」があるんですね。
たとえば
口の形を変えるだけで、一緒に喉も動いてしまったり。
裏声を出すだけで、地声が勝手に混じってしまったり。
こんなふうに、喉のパーツAを動かすと、一緒にパーツBも動いてしまう、、
そんな癖があるんですよ。
たとえるなら、小指だけを曲げたいのに、薬指もつい一緒に曲がっちゃう
みたいなイメージですね。
だからこそ、小指だけ曲げる。薬指だけ曲げる。。
と喉に覚え込ませるように、喉のパーツを一つ一つバラバラに動かせるようにしていくこと。
これが分離です。
地声と裏声の分離
分離の中でも触れておきたいのは、地声と裏声の分離です。
地声と裏声を、丁寧にきっちり分けて出せるようにしていくんですね。
① 純粋な裏声
まず純粋な裏声なんですが、たくさん息が混じった裏声です。
息をたくさん吐きながら「フー」と声を出していきます。
【参考音源:純粋な裏声】
音域は、B3〜 B4の間でやるのがおすすめなんですが、
低すぎたり高すぎたりして出しづらい場合は、無理ない音域からやっていけば大丈夫です。
あと、音階表記が苦手な人でも大丈夫ですよ。
この練習音源自体がB3~B4に設定されているので、安心してください。
【練習音源】
② 純粋な地声
純粋な地声は、息混じりの少ないしっかりとした地声です。
息を止めた状態で、「あ」と発声していきます。
【参考音源:純粋な地声】
最高音の設定はE4までがおすすめで、音源通りやればE4まで取り組めるようになってます。
ただ、E4だと高すぎて苦しい場合は無理なく発声できる音域まででOKです。
② 強化
強化のステップでは、喉の筋トレをやっていきます。
喉周りにある筋肉をしっかりと鍛えていくことで、
広い音域、声量、地声感、ビブラート、フェイク、などなど
全てのスキルにつながる強化な発声の土台を作れます。
これはいろんなところで話しているんですが、
歌うことは、スポーツと同じで喉の筋肉運動なんですね。
高音も、低音も、大きな声も、小さな声も、息っぽい声も、芯のある声も
全部喉の筋肉を使って発声していきます。
だからこそ、その喉の筋肉をしっかりと鍛えてあげれば、
全ての歌唱スキルが手に入るわけなんです。
地声と裏声の強化
地声と裏声の筋肉を鍛えていきましょう。
地声と裏声の筋力バランスが等しくなったときに、
初めて、地声と裏声を混ぜる”ミックスボイス”を習得できるので、
しっかりと鍛えていきます。
① 裏声の強化
裏声は「ほ」で発声していきます。
【参考音源:裏声強化】
息が漏れて弱々しい声にならないように、息を止めた状態から
声を出すのがおすすめです。
② 地声の強化
地声は「あ」で発声していきます。
これはひとまず分離の訓練と同じで大丈夫です。
【参考音源:地声強化】
裏声同様、息が漏れて弱々しい声にならないように、息を止めた状態から
声を出すのがおすすめです。
応用:融合トレーニング
①分離、②強化の2ステップでしっかりとトレーニングすると、すでに地声と裏声を
繋ぎやすくなっていると思います。
でも、完璧に地声と裏声をミックスさせて実践で使えるレベルにするには、
もう一段階踏む必要があるんですね。
それが③融合トレーニングです。
これは、地声と裏声を徹底的に混ぜていくトレーニングですね。
「いや、地声と裏声は混ざらないでしょ!」と思うかもですが、
確かに、地声と裏声自体は物理的には混ざりません。
ただ、まるで”混ざったかのように”地声と裏声がスムーズにつながる発声を習得していく、
ということで考えておいてください。
融合トレーニング:ハミング
「融合のトレーニングでおすすめがあれば教えてください!」
生徒さんや公式LINEの読者さんから、毎日のようにこの質問をいただくんですが、
それでいうと
初心者の人におすすめなのはやっぱり「ハミング」かなと思います。
声量を抑えた小さな地声でハミングをしていくと、
自動的に地声と裏声の筋肉をバランスよく使う、ミックスボイスの状態に持っていきやすいので
おすすめです。
【参考音源:ハミングで高音まで】
これはめちゃくちゃ難しいですが、ここまでできてしまえば
あとはハミングのまま歌ってみたり、口を開いて歌ってみたり。
声量を上げてみたり。
そんなふうにして、歌に使える状態に持っていく練習をしてみるのが
いいですね。
もちろん、最初は難しいと思います。
僕も、ハミングのトレーニングをやり始めた頃はかなり苦戦して、悩んでました。笑
何度やっても、地声からコロっと裏声にひっくり返ってしまってたので、
本当に「自分の喉だけ異常があるんじゃないか?」と
耳鼻咽喉科に駆け込んだほどです。w
でも結果的に、コツコツと練習していったら徐々に高音までスムーズに
ひっくり返らずに上がって行けるようになったんですよね。
もちろん僕の生徒さんも同じ過程を辿っているし、
最初はできないのはみんな同じです。
だから安心して、トレーニングしていきましょう。
それでは、ありがとうございました。
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