こんにちは、ボイストレーナーの金子です。
今回は裏声っぽいミックスボイスを改善して、
地声感の強いパワフルな高音へ持っていく方法について話していきます。
僕自身、今回解説するスキルを身につけたことで、
今では地声感のあるパワフルな高音で歌えるようになりました。
【参考音源:今の歌唱】
もちろん僕自身まだまだ未熟だと思ってるんですが、
今では楽に強い高音を出せるようになったので歌えない曲はほぼなくなりました。
とはいえ、最初から地声感のある高音を出せたわけじゃなくて、
むしろ昔は弱々しい高音で悩んでいた時期があって、かなり悩んでたんですね。
自分がボイトレを本格的に始めたのは大学生の頃なんですが、
当時、ミックスボイスを練習してなんとか地声と裏声が繋がってきては
いたんですよ。
ただ、いざカラオケで歌うと高音が弱々しくて使いものに
全然ならなかったんですよね。
録音した自分の声を聴いて
「え、こんな細くて弱い声じゃ、歌に使えないじゃん。。」と絶望してました。汗
特に、めちゃくちゃ歌の上手い知り合いとカラオケに行ったとき、
知り合いのパワフルな地声感溢れる高音と
自分の貧弱な裏声っぽい高音を比べてしまって、本当に悔しかったのを覚えてます。苦笑
じゃあなぜそんなド凡人でも、パワフルな高音を出せるようになったのか?
今日はとことん解説していこうと思います。
昔の僕みたいに、「裏声っぽい高音」で悩んでいる人は多いと思うので、
よかったら参考にしてみてください。
正しく取り組んでもらえれば、
地声感のある高音が出せるようになるので
髭男やミセスなど、最近の超高音曲でもパワフルに自由に歌えるようになるはずです。
ぜひ記事を読みながら実際にトレーニングしてもらえたら嬉しいです。
ミックスボイスが裏声っぽい時の対処法
結論、裏声っぽい高音を解消して地声感を身につけられたのは、
間違いなくベルティングボイスを習得したからです。
ベルティングボイスというと、聞いたことないかもですが、
わかりやすくいえば地声のまま高音を出すスキルですね。
【音源:純粋なベルティング】
もちろん、単体だとただの頭おかしい人なわけですが。笑
そんなふうに、地声の延長で高音をドカン!と出せる
ベルティングを習得したからこそ、高音でパワフルに力強く歌えるようになったんです。
ミックス強化の罠
一方で、高音発声のスキルとして「ミックスボイス」というスキルがあるわけですが。
僕自身がそうだったんですが、ひたすらそのミックスボイスを強化しようとして、
沼に落ちたので気をつけてほしいなと思っています。
ミックスで喉を開いてみたり、鼻を響かせてみたり、
あるいはお腹に力を入れたり。
色々とミックスを改造しようと頑張ってたんですが、
結局は理想の張りのある声には辿りつかなかったんですね。
友人とカラオケに行ったとき、力強くパワフルに高音を歌いあげる友人に対して、
自分はモヤシみたいなヘロヘロした弱々しい高音で歌う羽目になっていて、
本当に悔しかったですね。
でも今思えば、これはしょうがないことなんです。
知ってる人もいるかもですが、ミックスボイスの定義とは
地声と裏声が繋がる声なんですよ。
つまり、ミックスボイスの高音は裏声なのです。
ということは、必然的に声は細くなります。
さらに細い高音は倍音がないので、声量も弱々しくなるわけですね。
当然、声量が無ければカラオケのオケにも埋もれるし、
バンドの楽器にも声が埋もれます。
地声で高音を出せる友達と比べて、モヤシみたいな弱々しい
高音しか出せないのも今思えば当然でした。
地声のまま高音を出す?
で、そんなふうにミックス強化の地獄に落ちていたときに、
ある先生のレッスンを受けることになったんですよ。
その先生もとでは、本当にいろんな有益な情報を掴むことができました。
・ミックスボイス単体では地声感のある高音は厳しいこと
・大抵のプロシンガーの高音はベルティング発声であること
・ベルティング習得に必須な喉の筋肉の存在
今まで知らなかった知識のオンパレードで、本当に驚きましたね。
特に、先生が
「高音って、普通に地声のまま出せるからね?」
と、当たり前のように言っていたのは、今でも胸に深く刻まれている言葉です。
それまでずっと信じ込んでいた一つの常識が完全にひっくり返った瞬間でした。
僕はそれまで、高音を地声のまま出せるなんて常識的にありえない
と思ってました。
「地声の音域なんて生まれつき決まってるから高音はミックスでしか出すことができない」
と思ってたし、
実際にそう教えている情報も多かったです。
でもそれは完全に間違いで、正しくトレーニングしていけば
地声の延長で高音を出すことができるんだ、ということを知れたんですよ。
ベルティングを習得
そして、そうと知ったら早速ベルティングを夢中になって練習していきました。
しっかりとベルティングに必要な喉の筋肉をコツコツ鍛えて、
最終的には身体全身で力強い高音を出せるようにトレーニングしていったんですね。
そして、だんだんとトレーニングを積んでいくうちに
地声のまま出せる音域が伸び始めてきたんですよ。
D4→ G4→A4→C5→E5‥
地声のままスーッと音域が伸びていく、
そんな不思議な感覚でした。
やっぱり、徐々に地声のままパワフルに歌えるようになっていく
のは最高に嬉しかったですね。
「この感覚を忘れたくない」と思ったし、何より声が出てめちゃくちゃ嬉しかったので
駅のホームだろうが、大学の教場だろうが、どこでも関係なく歌っていたので
不審者扱いされていたと思います。w
でもそうやって、先生の言う通りにベルティング発声の練習を
していくと、どんどんパワフルに歌える曲が増えていったので
毎日の自主練が終わるたびに小さくガッツポーズしてましたね。笑
今思うと、ベルティング習得の知識が日本には全然浸透していない中で、
しっかりと海外のノウハウも取り入れていた先生に教えてもらっていたのは
めちゃくちゃ運が良くてラッキーだったなと思います。
先生には大大大感謝です。
逆に言うと、運よく救われた僕自身が今度は地声感で悩む人の助けになれたら
と思ってます。
だからこそ、ここからは僕自身がどうやってベルティングを習得してきたのか?
話すことによって
一人でも多くの人がパワフルな高音を出せるようになればいいな
と思います。
ベルティング発声に必要な筋肉とは?
じゃあ具体的にどうやってベルティングを練習していくのか?
話していきたいと思います。
もちろん、たくさんのトレーニングを組み合わせて取り組んでいくんですが、
その核となるトレーニングは、「喉の筋トレ」です。
一般的には「奇声」と思われても仕方がない(w)声を出して、
喉周りにある筋肉を満遍なく丁寧に鍛えていくのが大事なんですね。
【図:喉周りの筋肉】
図を見てもらえたら分かる通りで、喉は4つの方向に動かせるんですね。
前上方向(鼻方向)、前下方向(胸方向)、後ろ上方向(後頭部方向)、
後ろ下方向(うなじ方向)、
こんなふうにして、喉そのものはいろんな方向に動かすことができるんですね。
で、その中で特にベルティング発声に大事なのが
前下方向に喉を引っ張る筋肉(=胸骨甲状筋)なんですよね。
だから喉を下に引き下げる筋肉を鍛えていくことが大事と言われてるんですね。
僕もこの事実を知ってから、ベルティングの習得のために
ガッツリと喉を下げるトレーニングをやっていきました。
そしたら、地声の延長で発声できる音域が伸びていったんですよね。
最初はG4でもキツかったのが、hiA#→ hiC→ hiE‥と、地声のまま
高音が伸びていくなんとも不思議な感覚になったんです。
だからこそ、ぜひこの胸骨甲状筋をトコトン鍛えるトレーニングを
一緒にやっていきましょう。
ベルティングの訓練法
やり方はシンプルで、口を横に思いっきり「イ」と開いて、
野太い深い声を出します。
【参考音源:「イ」喉下げ】
【練習音源】
(めちゃくちゃ変な声ですが、この声で歌うわけじゃないので心配しないでください。w)
この時、僕自身が先生に何度も注意されていたのが
口が「ウっぽくならない」ことです。
あくまでもちゃんと前歯が全部見えるくらいに「い」と口を横に開くことを
意識してました。
というのも「い」は喉が上がりやすい母音なんですよね。
に対して「う」や「お」は喉が下がりやすい母音です。
しっかりと「い」で喉が上がりやすい状態を作ってあげて、
あえてそれと逆方向の下方向に喉を引き下げる。
そうすることで、しっかりと前下の筋肉に負荷をかけることができるんですよ。
だからこそ、僕自身このトレーニングをやるときは常に
鏡を見ながら練習したり、スマホで自撮り録画しながら練習してましたね。w
当然スマホの写真フォルダが自分の顔だらけになって、超絶ナルシストみたいになって
友人に説明するのが大変でしたが。笑
でもそれくらい客観的に自分の表情を見ながらやると、
間違いに気づきやすくなるので、よければやってみてくださいね。^^
応用:ベルティングを歌に活かす方法
「Gug(ガッガ)」のまま力強く歌う、という練習をしていました。
特に「Gug(ガッガ)」はガッツリやってましたね。こんな感じで極端にやります。
【参考音源:ベルティングを歌に活かす練習】
これを聞いて「こんなに叫んで大丈夫?」
と思った人もいると思うんですが、
もちろんいきなりここまでやり込まなくても大丈夫です。
もし独学で練習していて心配だとしたら、少し声量を抑えて始めてみてください。
ちなみに、なぜこのトレーニングがおすすめなのか?というと、
ベルティング発声は、声帯がしっかりと閉鎖することで
出しやすくなるんですが、
その点「Gug」は、声帯がピタッとくっついて閉鎖しやすくなるツールなので
地声感が出しやすくなるんですね。
だからこそ、ぜひこのトレーニングも挑戦していってほしいなと思います。
ベルティングは難しい、そんなイメージがある人も多いと思うんですが、
着実に練習を積み重ねていけば誰でも習得できるスキルなので安心してください。
元々、カラオケで一曲も歌える曲がないほど
音域が狭く、声が汚くて音程がガタガタだった人間でも、
適切なボイトレに取り組んだら何とかなりました。笑
だから今トレーニングをやってみてできないことが多くても全然大丈夫です。
一歩一歩進んでいけば必ずできます。
安心してコツコツ継続していきましょう。
今回の内容が少しでも役に立っていたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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