こんにちは。ボイストレーナーの金子太登です。
今回は、ファルセットの意味やどんな声なのかについてお話していきたいと思います。
※ボイストレーナー金子の歌声です。当記事を参考にするかどうかの判断基準としてください。
【ミックスボイスでの歌唱例】
目次
1.裏声=ファルセットではない!
分かりやすいように裏声=ファルセットと言ってしまっても初心者の方にはいいかもしれません。
しかし、ここではもう少し詳しく知りたい方のために
ごちゃごちゃといろいろと説明していきます(笑)
1-1ファルセットは”息もれのある”裏声
ファルセットは”息もれのある”弱弱しい裏声のことだと考えていただけると
分かりやすいと思います。
この時声帯はわずかに開いた状態になっており、
そこから人間の呼気がもれるために息もれが多く、
効率よく息が声にならないスカスカな声になります。
あ、別にファルセットを悪く言っているわけじゃないですよ!
歌でも表現によってはごくまれに使うこともありますし、
僕の発声トレーニングでは多用します。
息もれのある声をファルセットと世間一般で呼ぶのであれば、
息もれのない裏声は・・・?
1-2ヘッドボイス=”息もれの少ない”裏声
ヘッドボイス=息もれの少ない裏声です。
こんな感じで考えている方が多いでしょうし
これはこれでオッケーだと思いますが
他にもヘッドボイスのとらえ方はいろいろと
ありますので、僕の記事のヘッドボイスとファルセットの違いを明らかにするをご覧になってみてくださいね。
1-3ファルセットとヘッドボイスを聴き比べてみよう
世間一般で言うところのファルセットボイスとヘッドボイスを聴き比べていただくために
音声を載せておきますね。
【ファルセット】
【ヘッドボイス】
聴いていただくと、ファルセットボイスの方が息もれが多く、弱弱しい声に聞こえると思います。
それに対して、ヘッドボイスは柔らかい音色の中にも
芯があることが分かると思います。
2.歌唱ではヘッドボイスを使おう
歌を歌っていて、表現の1つとして裏声に抜いて歌いたいときは
この記事の定義で言う息もれの少ない裏声いわゆるヘッドボイスで歌うことを
おすすめします。
2-1ヘッドボイスでの歌唱をおすすめする理由
歌を歌う際は、ヘッドボイスを使っていくことを
おすすめします。
息もれが多いファルセットボイスで歌うことは
全ての息を声に変えることができず、
非常に効率が悪く、呼気を無駄遣いしてしまうので
避けた方がいいでしょう。
表現として、一部分で使うのはアリだとおもいますが。
3.ヘッドボイスをうまく利用する歌手
ヘッドボイスをうまく利用してきれいに発声しているプロの歌手を
ご紹介します。
3-1平井堅さん
平井堅さんは、ミックスボイスで柔らかく発声しているイメージが強いと思いますが
実は柔らかいヘッドボイスも多用されています。
とくに高音部分はあえてミックスボイスで強く発声することは
せずに、ヘッドボイスで柔らかくきれいに発声している
印象です。
※冒頭の歌唱についてです。
口づけからはじめよう やわらかな 真実を 重ねたい 今すぐに
赤文字の部分がヘッドボイスです。
平井堅さんのヘッドボイスは柔らかくも芯があり、
さらにミックスボイスの音色もかなり裏声よりであることも
手伝って非常に境目が分かりずらいですよね。
3-2堂珍義邦さん
I am calling you… 赤字の部分がヘッドボイスです。
ちなみにamは音域的にミックスですね。
きめ細やかなヘッドボイスを発声しているので
相当に輪状甲状筋が発達していると思われます。
4.コラム ヘッドボイスを発声できない場合の対処法
ファルセットは発声できるけれど、ヘッドボイスを全く発声できないよ!
というあなたのために、ヘッドボイスを発声するための
超シンプルな手順を簡単にお伝えしていきます。
4-1ヘッドボイスを作るための手順
STEP1 息もれのある裏声を発声する
先ずはなんといっても息もれのある裏声を発声していく必要があります。
なぜなら、ヘッドボイスを発声できない原因の多くは
輪状甲状筋という声帯を引っ張るための筋肉が
未熟である場合が多いからです。
この筋肉を鍛えるために、息もれのある裏声を使っていくことは
もっとも効率がいい方法とされています。
簡単に言えば、地声に負荷をかけないで裏声だけに負荷を
かけたいので、息もれのある裏声を使っていくということになります。
具体的には、無理なく発声できるすべての音域で
「フー!」や「ホー!」で息もれのある裏声を
発声しましょう。
【息もれのある裏声】
STEP2 STEP1で強化されてきた裏声を低音域でも発声できるようにする
STEP1を長期間我慢して継続していると、
無意識(息もれさせたり、声帯を意識的に閉じたりしないこと)に裏声を
発声したときに柔らかい声の中にも芯が出てくると思います。
また、「ウ」や「お」といった母音を明確に発音できるように
なっていきます。
その段階になったら、ある程度の高音域で強く発声できているであろう
裏声を低音域でも発声できるようにしていきいましょう。
4-2ヘッドボイスの基本的な考え方
ヘッドボイスの作り方として上記でご紹介させていただき
ましたが、ヘッドボイスとは息もれのあるファルセットを
発声して輪状甲状筋が鍛えられてくることによって
自然と発声されるようになるものです。
極端に言えば、STEP1をきちんと行っているだけでも
ヘッドボイスは徐々に発声できるようにはなっていくと思います。
ですが、STEP2も行うことでヘッドボイスを習得するまでの
期間が短くなりますので、是非取り入れてみてください。
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