こんにちは、ボイストレーナーの金子太登です。
今回は、読者さんから質問いただいた「ミックスボイスは突然できるの?それとも徐々にできるの?」
という質問にお答えします。
結論から言っちゃうと、ミックスボイスの習得は”徐々にできてくるもの”
というのが答えです。
詳しくお話していきます。
【参考歌唱音声:Pretender】
※純粋なミックスボイスで歌った歌唱例です。
目次
一気に音域が伸びる時が”何度も”ある
正しいボイストレーニングをしていると、ある日一気に音域が伸びる時がきます。
そして、それは何回も繰り返しやってきます。
図にするとこんなイメージですね。
【図:ミックスを習得するまでの成長イメージ】
E4(真ん中のミの音)→変化がない時期→B4(高いシの音)→変化がない時期 →C5(高いドの音)→ 変化がない時期 → E5 (高いミの音)、、、
みたいに、ある日を境に、一気に音域が伸びていくイメージです。
こうして、急激に発声できる音域が伸びる時期と、何も音域に変化が起きない時期が交互にきて、
結果的に、低音から高音まで発声できるミックスボイスの状態になるということです。
一気に、最高音まで発声できるようになるわけではないので、
ミックスボイスの習得は、徐々に出来上がるものと考えてOKです^^
ただ音域が伸びる時期は、急激に音域が伸びるので、
地声の音域を一音一音無理やり伸ばしていくということではないですね。
筋トレのように、無理やり地声を張り上げていれば地声のような音域が伸びていくと考えている方は多いですし、昔も僕はそう考えてましたが、
それは間違いなので、注意してください^^
ミックスボイスの習得は、あくまでも技術です。根性論ではなんとかなりません汗
ミックスボイスを習得するための3つのステップ
ミックスボイスボイスは、徐々に発声できるようになると理解していただいたところで、さっそくミックスボイスを習得するための3つのステップについて解説していきます。
もちろん、ここで解説するのは着実に成果を出すための正攻法です。
ちゃんとやれば確実に結果が出ます。
だから
「一瞬で!ミックス!」とか
「1日でできるミックス!」
みたいな小手先のコツは紹介しません。全然効果ないので。
そういうコツで成長できないのは分かっているかもしれませんが、そういうのを探している方は別のサイトを探してみてください。
ということで、本気でミックスボイスを習得したい人はこの先も集中してみていってくださいね。
STEP①地声と裏声を分けよう
まず最初に、地声と裏声を丁寧に分けて発声できるようにしていきます。
「いや、地声と裏声が分かれているから困っているんだ!」と思うかもしれないですが、
実はほとんどの人が、地声と裏声がごちゃごちゃに絡まった状態になっていて、綺麗に切り離して発声することができないんですね。
- 地声を出そうとしても、裏声が混ざってしまう
- 裏声を出そうとしても、地声が混ざってしまう
こんな状況にある方が多いんですね。
【図解:地声と裏声が絡まった状態】
だからこそ、いきなり地声と裏声を混ぜようとするのではなくて、地声と裏声をちゃんと徹底的に分けるようにしましょう。
100%の地声
まずは、100%の地声を出してみましょう。
普通に「ア」と地声を出すだけでOKです。出しやすい音域で出してみてください。
【参考音源:100%の地声】
この時、息が漏れたりしないように注意しながら力強い地声を出してくださいね。
100%の裏声
次は100%の純粋な裏声ですね。
純粋な裏声は息がたくさん漏れた裏声です。
「フー」と息を漏らして発声してみましょう。出しやすい音域でOKです。
【参考音源:100%の裏声】
こんな感じで、地声と裏声を徹底的に分離すると、のちのち地声と裏声をミックスさせやすくなるので、
面倒なんですけど、ちゃんとやっておくことをオススメします。
STEP② 地声と裏声を鍛えよう
STEP①で分離した地声と裏声を丁寧に育てて強化していきます。
ふつうは、地声と裏声の筋力バランスに差がありすぎるので、
それを同じくらいのバランスに整えてあげる必要があるんですね。
【図:地声と裏声の筋力バランスが悪い】
地声と裏声のバランスが悪い状態ですね。
【図:地声と裏声の筋力バランスが良い】
(トレーニングによって、地声と裏声のバランスが取れた状態です。こっちを目指していきます。)
地声と裏声の筋力バランスが整うと、これまたのちのち地声と裏声を混ぜやすくなるので、
ちゃんと鍛えておきましょう。
地声を鍛える
まず地声です。地声を徹底的に鍛えていきます。
変な薄っぺらい声で「イ」と声を出してみましょう。
【参考音源:薄っぺらい変な声で「イ」】
裏声を鍛える
次に裏声ですね、これはシンプルです。
何も考えずに、何も意識しないで裏声「ホー」と出してください。
え?何も考えないの?と思うと思うんですが、
そのままちゃんと継続していけば、裏声は徐々に力強く声量も出るようになってきます。
昔の僕みたいに、「おりゃー!!強い裏声じゃー!!」
と、それこそ裏声にエッジボイス を混ぜるとかしちゃいけません笑
【参考音源:何も考えずに裏声を出す】
じっくりと裏声が育つのを待ちましょう。何も意識しないのがポイントです。
SETP③ 地声と裏声を混ぜよう
最後はいよいよ、地声と裏声を混ぜていきましょう。
今まで整えてきた素材を使って、ミックスボイスのトレーニングをしていきます。
そうすることで、低音から高音までひっくり返ったり張り上げたりすることなく歌えるようになります。
本当にたくさんのトレーニング方法がありますが、ここでは分かりやすい方法を1つ紹介します。
地声と裏声を混ぜるトレーニング
小さい声で地声を出します。
小さい声で地声を出そうとすると、どうしても裏声になりがちなんですが、
そこをちゃんと我慢して小さい地声で踏ん張るイメージです。
【参考音源:小さい地声】
出しづらいちょっと高めの音域でやるのがポイントで、
C4〜E4(真ん中のドレミ)あたりでやるのがオススメです。
これができたら、徐々に声を大きくしていきましょう。
【参考音源:声を大きくしていく】
苦しくならず、裏声ではない声で出せていればミックスです。
感覚的には、軽い地声って感じですね。
とはいえ今できなくても全然問題なくて、ちょっとずつ仕上げていけばOKです。
コツコツ、自分だけのミックスボイスを完成させていきましょう。
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