こんにちは。ボイストレーナーの金子太登です。
今回は「裏声のかすれを治す対処法」についてお話していきます。
裏声を発声するときにかすれてしまうのには、多くの原因がありますが
主な原因となるもの/対処法をご紹介していきたいと思います。
目次
1裏声の発声に問題がある場合
裏声の発声に問題がある場合には、正しい発声に修正していくことで
裏声のかすれを改善していくことができます。
1-1発声に問題がある場合の声帯の状態
発声に問題がある場合の声帯の状態について説明していきます。
裏声のかすれは基本的に声帯をきちんと閉じることができていない
声帯の状態で起こりやすいです。
声帯がしっかりと閉じている状態をつくっていくことが
裏声のかすれを治すためにはとても重要です。
[声帯を閉じた状態/開いた状態の大まかなイメージ]
参照:http://contest.japias.jp/tqj19/190120/page13.html
裏声がかすれてしまう人の多くは裏声に芯や力強さがなかったり
しっかりとした声量で裏声を発声することができなかったりします。
その原因には様々なことが考えられますが、声帯(声をだすために振動する
2枚のヒダ)まわりの筋肉が原因となっていることがほとんどです。
そのことについて次の項でお伝えします。
1-2声帯まわりの筋肉
声帯まわりの筋肉についてお話していきたいと思います。
1-1で声帯周りの筋肉が裏声のかすれと関係があることが多いことは
お伝えしました。
実際には、「地声」をつくっている筋肉群と「裏声」をつくっている筋肉群
さらに喉を吊っている筋肉群などがバランスよく鍛えられていないために
裏声のかすれが生じていると僕は考えています。
その中でも、最も「裏声のかすれ」と関係のある筋肉群の一つが
前筋すなわち輪状甲状筋です。
[輪状甲状筋とは]
輪状甲状筋とは音程を調整したり、高音を発声するために声帯を強力に
薄く引き伸ばす役割を担う筋肉です。
[輪状甲状筋]
このように輪状甲状筋が収縮することによって声帯が伸びるわけですね。
因みに輪状甲状筋は僕が他の記事でさんざん語っているミックスボイスの習得
に大きく関わっている筋肉です。
1-3裏声のかすれを治す発声法を手に入れるトレーニング
裏声のかすれを治す発声法を手にいれるためのトレーニングについて
お話していきます。
裏声がかすれてしまう人の多くは声帯周りの筋肉がきちんと鍛えられていない
ことが多いことはすでにお伝えしましたね。
そこで、声帯周りの基本的な筋肉をきちんと鍛えることのできるトレーニング
をご紹介します。
[裏声系の筋肉群を鍛えるトレーニング1]
1口を「ウ」の形に開く
2ミッキーマウスのような息漏れのある漂う裏声を発声する
[注意点]
・裏声を発声するときは必ず息漏れがあることを確認する
・口の形をしっかりと固定し、他の母音に変えない
・男女共に無理のない音域で発声練習を行う
[裏声系の筋肉群を鍛えるトレーニング2]
1.口を「イ」の形に開く
2.鼻にかけたような平べったい声で息漏れのない声を意識しながら発声する
[注意点]
・息漏れのない声が発声されていることを確認しながら発声する
・口の形を固定し、他の母音に変わることがないように気を付けながら発声する
・男女共に無理のない音域で発声練習を行う
[裏声系の筋肉群を鍛えるトレーニング3]
1.口を「オ」の形に開く
2.息漏れのある声で勢いよく「ホー!」と発声する
[注意点]
・裏声を発声するときは息漏れがあることを確認する
・口の形は変えずに、母音が変わらないことを意識する
・男女共に無理のない音域で発声練習を行う
続いて地声系の筋肉群を鍛えるトレーニングをご紹介していきます。
[地声系の筋肉群を鍛えるトレーニング1]
1.口を「ア」の形に開く
2.息を止めた状態で勢いよく「エー!」と発声する
[注意点]
・発声する際に息漏れがない(少ない)ことを確認する
・口の形を変えず、母音はキープする
・男女共に無理のない音域で発声を行う
[地声系の筋肉群を鍛えるトレーニング2]
1.平べったい声で「ミン」と発声する
2.フォームを崩さないように「ミンッミンッミンッ」と繰り返し発声する
[注意点]
・発声の際に息漏れをさせない
・鼻にかけたような平べったい声をキープする(声が太くなってはいけない)
※志村けん演じるバカ殿の声をイメージするとよい
僕が注意点でお伝えしている点で共通している
・息漏れ
・口の形を変えない(母音を崩さない)
ということが具体的に何のために行うのかをよくわからない!
という方も多くいらっしゃると思います。
「でも安心してください!穿いてま…」 古いですかね。
安心してください。これからご説明しますよ。
1-4母音と息漏れを意識してみよう
「母音」と「息漏れ」を意識して発声練習をしていきましょう!
まず母音から説明していきます。
[母音とは]
声が口を出るまでの間、その経路が舌やくちびる等で妨げられない
時の音。標準的な現代日本語では、ア・イ・ウ・エ・オの五つ。
です。
ここは皆さんすでに分かっているところですし、重要なところではありません。
発声中の口の形を無意識にでも変えてしまうことが、
母音を崩してしまうので良くないということです。
では、なぜ母音が崩れてしまうとボイストレーニングを行う上で
よくないのか。
それは、ボイストレーニングによって鍛えたい筋肉以外の
筋肉もお仕事を始めてしまうからです。
例えば、
先ほどご紹介した[裏声系の筋肉群を鍛えるトレーニング1]
では、「ウ」の母音を使って裏声系の筋肉である輪状甲状筋
喉を吊っている筋肉の茎突咽頭筋・胸骨甲状筋などを鍛える事ができます。
※喉を吊っている筋肉の事を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
逆に言えばそれ以外の筋肉はこのトレーニングでは動かしたくないわけです。
例えば「ウ」の母音がほんのすこし「ア」に近くなっただけで
地声系の声帯(声をだすために呼気によって振動する2枚のヒダ)を閉じる
筋肉がお仕事を始めてしまいます。
こういったわけで母音を崩さないように細心の注意を払って
ボイストレーニングを続けていっていただきたいと思います。
これはすべてのボイストレーニングで当てはまることなので、
注意してくださいね。
[息漏れとは]
息漏れとは声帯という声を作るための二枚のヒダの閉まりが弱く
多くの息が声帯の間から抜け出てしまう現象の事です。
他方、息漏れがない(少ない)とは、
声帯がぴったりと閉じた状態で、声帯から無駄な息が
抜け出ていない現象の事です。
息がすべて声になっている→息漏れのない声
息がすべて声にならないで漏れてしまう→息漏れのある声
このように考えていただいても分かりやすいかなと思います。
[息漏れをしているとき・していないときの声帯のイメージ]
参照:http://contest.japias.jp/tqj19/190120/page13.html
僕のトレーニングでは、
この「息漏れのある声」と「息漏れのない(少ない)声」
使い分けることによって喉を育てていきます。
では、なぜこの「息漏れのある声」と「息漏れのない(少ない)声」
に注意してボイストレーニングを行っていかなければならないのか。
それは、母音のときと全く同じで
鍛えたい筋肉を集中的に鍛え、それ以外の筋肉がお仕事を始める(動き始める)
ことを防ぐためです。
ということで、「母音」を保つこと・「息漏れのある声/息漏れのない声」を使い分けて
発声練習を行うことがとても重要であるということは
ご理解いただけたと思います。
なので, 「母音」とか「息漏れ」とかこのボイストレーナーはうるせえなあ!
と思われてもこのブログでは正しい情報を発信しつづけますよ!(笑)
2声帯に問題がある場合
声帯になんらかの疾患がある場合についてお話していきたいと思います。
2-1声帯とは
声帯とはどのような器官なのかをご説明していきたいと思います。
[声帯とは]
2枚のヒダ状の器官で、このヒダを呼気によって振動させることに
より、声がでます。
声帯の表面は粘膜で、中は筋肉や靭帯でできています。
[声帯のイメージ]
参照:https://www.voice-produce.com/blog/5071
2-2声帯ポリープとは
声帯にイボのような膨らみができてしまう病気のことを
声帯ポリープといいます。
この膨らみが声帯が振動するのを妨げてしまうため、
非常に声を出しづらい状態になってしまいます。
因みに声帯ポリープは声帯のどちらか片方にできることが
多いです。
[声帯ポリープ]
参照:http://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/vocal_cord_polyp/
2-3声帯ポリープの症状
声帯ポリープの症状には次のようなものがあります。
・声がかすれる
・唾液をのみこむ際に痛みを感じる
・声を出している際に空気がまじるような音が生じる
・呼吸がくるしくなる
どの状態も、ボイストレーニング云々の前に好ましくない状態
ですよね。
2-4声帯結節とは
[声帯結節とは]
粘膜の組織で形成されている声帯が振動し、
こすれ合うことで物理的なストレスが大きくかかり、
両側の声帯に結節というペンダコのような硬い組織ができます。
ポリープは左右の声帯の片方にできることが多いですが、
声帯結節は両方の声帯にできることが多いです。
2-5声帯結節の症状
声帯結節の症状には次のようなものがあります。
・声が嗄れる
・話すとき・歌うときに空気が漏れる
・長く話していると声がでにくくなる
こんな症状がみられます。
2-6声のかすれと声帯の病気
お伝えしたように、声帯ポリープ・世帯結節のような
病気が声帯に潜んでいる場合は、
声がかすれることがあります。
これはボイストレーニングで治すことは難しくなってきます。
(音声治療で治るケースもあります)
声(裏声も)がかすれると感じる方は、
まず耳鼻咽喉科などで検査をしてもらいましょう。
そこで、声帯に疾患などがないようであれば、
声のかすれの原因は声帯の使い方にあることがほとんど
なので、ボイストレーニングを継続して行うことで
改善に導くことができます。
ちなみに耳鼻咽喉科はどこの町にもありますが、
その中でも音声を専門にしている病院は相当限られています。
そこで、音声を専門にしているクリニックをご紹介したいと思います。
より専門的な診断・治療を検討する場合には是非参考にしてみて下さい!
3胃食道逆流症と声のかすれ
胃食道逆流症と声のかすれに関してお話
していきたいとおもいます。
3-1胃食道逆流症とは
胃食道逆流症は胃酸が食道に逆流し、粘膜を刺激してしまうとても
怖い病気です。GERDと呼ばれることもあります。
参照:https://medicalnote.jp/contents/150329-000002-ZSOCTG
3-2胃食道逆流症の症状
胃食道逆流症の症状には次のようなものがあります。
[胃食道逆流症の症状]
・胸やけ
・呑酸
・声がれ
・喉の違和感
・咳
3-3声のかすれと胃食道逆流症
胃食道逆流症と声のかすれは深く関係しているといわれています。
胃酸が直接声帯にかかってしまうことで、声帯が焼けてただれて
しまうことが声のかすれ・嗄れにつながることもあります。
声帯が焼けることで、声帯に肉芽腫ができて
声帯をうまく閉じることができないことが原因といわれています。
心当たりのある方はなるべく早めにお医者さんに診てもらいましょう!
3-4胃酸過多による僕の慢性胃炎体験記
胃酸過多による僕の慢性胃炎体験をお伝えしたいと思います!
記事の後半がどんどん暗い内容になってきていますが、
僕は書きたいことは書きますよ!(笑)
ちなみにボイトレとは関係ない内容なので、
読みたくない方は飛ばしてください!!
[食生活と極端な運動不足で慢性胃炎に]
僕は、基本的に野菜が嫌いです。
でも、ハンバーグ・ステーキ・油もの
は大好きです(笑)
そして、食べる癖に運動は嫌いで苦手です。
食べてはすぐに横になるというような生活を
送っていました。
そしてある日、胃に不快感を感じたので
病院の胃カメラで検査をしました。
結果は胃酸が多く分泌される胃酸過多による
慢性胃炎。
先ほどお話した胃食道逆流症と同じように
声がかすれる症状もバッチリ当てはまっていました。
[現在も闘病中!]
あの辛かった慢性胃炎が半年ほど経った今はようやくよくなってきました。
しかし、今も声のかすれ・時々生じる胃の痛みと戦っています。
この病気にかかったことで、ボイストレーニングをできるのも
健康体あってのことという超当たり前のことに気付くことができました(笑)
皆さんも、食生活・運動不足などにはくれぐれも気を付けて下さいね!
健康的で楽しいボイストレーニングライフを送りましょう。
最後までご覧いただいて、ありがとうございました。
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最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
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