こんにちは、ボイストレーナーの金子です。
今回は、地声と裏声の分離について話していきます。
今回の内容、超がつく重要事項です。
今でこそ僕は ミックスやベルティングといった
高音発声のスキルを習得できたんですが、
それはこの「地声と裏声の分離」を知れたからというのは大きいです。
もし知らなかったらおそらく今でも
ずっとミックス発声のコツ探しを続けていたと思います。
それくらい重要な内容なので、ぜひ取り組んでみてほしいなと思ってます。
地声と裏声の分離とは?
冒頭でもお話しした通りで、ミックスを習得するためには
地声と裏声を“分離”していくのが大切です。
分離って言葉がすでに難しそうなイメージだと思うんですが、
全然そんなことないです。
地声と裏声の分離というのは、わかりやすくいうと
100%の地声と、100%の裏声をそれぞれキッチリ出し分けようね
という話なんですね。
というのも、地声と裏声がゴチャゴチャにこんがらがった状態でミックスさせようとしても、なかなか上手くミックスされないんですよ。
これはたとえるなら、寝癖で髪の毛がぐちゃぐちゃにこんがらがった状態で、無理やりヘアワ
ックスで髪型を決めにいく感じですね。笑
それなら、水で髪の毛を濡らして櫛で綺麗に髪の毛の絡まりや癖をとってからワックスをつけてセットした方が、綺麗に髪をセットできますよね。
それと同じでミックスを習得するなら、地声と裏声をミックスさせる前に地声と裏声を綺麗に
切り離して、発声の癖をとっておくことが大切になってきます。
もちろんこんな話をすると、
「いや、もう地声と裏声は分かれている!
むしろ混ぜたくて困ってるんだよ!」
と思うかもですが、ちょっと待ってください。笑
昔の僕もそうだったんですが、
実はほとんどの人は”喉が不器用”で、
地声と裏声を出し分けることができていないんですよ。
小指だけ曲げたいのに、一緒に薬指が曲がっちゃうのと同じように、
裏声を出そうと思っても、地声が混ざってしまったり、
あるいは地声を出そうと思っても、裏声が混ざってしまったり。
そんなふうに、地声と裏声がゴチャゴチャにこんがらがった状態にあるわけです。
これを「混合状態」なんて呼んだりします。
地声と裏声が絡まる(混合状態)
混合状態についてもう少し深掘りしていくと、
具体的に、混合状態は2つに分けられます。
ケース① 裏声に地声が混ざる
100%の裏声(=息混じりの裏声)を出したいのに、
勝手に地声が混ざって(芯のある裏声)になってしまう
【参考音源:純粋な100%の裏声】
【混合状態①:裏声に地声が混ざる】
裏声に力強さが出てしまっているのが分かると思います。
息っぽさが減っていますよね。
ケース② 地声に裏声が混ざる
100%の裏声(=息混じりの裏声)を出したいのに、
勝手に地声が混ざって(芯のある裏声)になってしまう、
【参考音源:純粋な100%の地声】
【混合状態②:地声に裏声が混ざる】
①とは逆に、裏声っぽさが出てしまっていますね。
声が息っぽくなっているところも注目です。
話を戻すと、これらのどちらかに当てはまっている人がかなり多いんですよね。
特に、低音や高音になるとその傾向は顕著かなと思ってます。
だからこそ、本当の意味で純粋な地声と裏声を出し分けられるように、
地声と裏声の分離をやっていくのが大切になってきます。
トレーニング
① 純粋な裏声
まず純粋な裏声なんですが、たくさん息が混じった裏声です。
息をたくさん吐きながら「フー」と声を出していきます。
【参考音源:純粋な裏声】
音域は、B3〜 B4の間でやるのがおすすめです。
もちろん音階表記が苦手な人でも大丈夫ですよ。
この練習音源自体がB3~B4に設定されているので、安心してください。
【練習音源】
注意点
① 2〜3秒以上息が続いたらアウト
2〜3秒以上余裕でロングトーン(声を伸ばす)できたら、
地声が混じっている証拠なので、アウトです。笑
だからそういう生徒さんに対しては、
最初の一息で全ての息を吐き出すくらいの勢いで練習するように指導しています。
こんな感じですね。
【参考音源:一息で全て吐き出す】
試してみてください。
② 口の形が変わったらアウト
口の形が変わると、それにつられて地声の筋肉が介入してくることが
あるので、口の形は「ウ」でキープするのが大事です。
特に、高音になると口の形が「ア」っぽくなる人がめちゃくちゃ多いので、
気をつけてください。
② 純粋な地声
純粋な地声は息の漏れが少ない地声ですね。
息を止めた状態で、地声「ア」で発声します。
【参考音源:純粋な地声】
【練習音源】
音域は、低音は出しやすい音域〜高音はE4までが
ひとまずおすすめの音域です。
「E4は低くないか?」って思った人もいるかもですが、
本当の意味で裏声が混ざらない純粋な地声は、E4くらいまでと言われているので、
E4をおすすめしています。
注意点
① 息もれNG
純粋な地声では、息が漏れないように注意が必要です。
② 小声NG
小声だと、裏声系の筋肉が介入してくるので
なるべく大きな声でハッキリと発声するのをおすすめします。
まとめ
今回の内容をまとめます。
・純粋な裏声→ 息混じりの弱々しい裏声
注意点1:2〜3秒以上声が続くのはNG。
注意点2:口の形が「ア」になるのはNG。
・純粋な地声 → 息混じりの少ない力強い地声
注意点1:息漏れNG
注意点2:小声NG
地味すぎる地声と裏声の分離なんですが、これほど重要なトレーニングって
中々ないと思います。
これがきちんとできている人は、どんなトレーニングをやっても
基礎の上に応用が積み重なっていくのでどんどん発声が良くなっている印象なんですが、
逆にできていない人をみていると、何をやってもグラグラの土台の上に
応用を積み上げるようなイメージなので、ミックスやベルティングなんかの習得が
できず、ずっと悩み続けているんですよね。
だからこそ一緒に、この地味すぎる地声と裏声の分離、頑張って攻略していきましょう。笑
それでは、ありがとうございました。
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