こんにちは、ボイストレーナーの金子太登です。
僕がミックスボイスを最初に習得したきっかけは ”張り上げミックスボイス”
だったのですが、
この”張り上げミックス”なるものには、すごく苦しめられました。笑
喉に負担がかかる感じだったり、声が一瞬で完全に枯れる…みたいなことはなかったんですけど、
とにかく高音がキンキンするし、カラオケで20分くらい歌うとすぐに喉がバテちゃうしで
本当に大変だったんですよ。
ただ、そこからボイストレーニングを積んで楽な体感のミックスボイスを習得することができました。
張り上げたミックスはできたけど、「そこから、どうにもこうにも脱力できん!」という人は多いんだなーと思ったので、
今回は、張り上げたミックスボイスを歌で使える楽な体感のミックスボイスに変える方法を
取り上げたいと思います。
目次
動画で解説
Youtubeチャンネルでも詳しく解説しています。
ぜひ記事とあわせて見てみてくださいね。
張り上げミックスになる理由
張り上げミックスになる理由はいくつかあるので、順番に解説していきますね。
理由① 息の量が多すぎる
まずこれ。昔の僕も含めてみんな圧倒的に息の量が多いんです笑
そもそも、高音を出すために必要な息の量ってそんなに多くないんですよね。
だからそれ以上に息の量を流しすぎると
声を張り上げて叫ぶ原因になるのです。
張り上げミックスになっている人は、張り上げ地声(チェスト)出身の人が多いので、
息を多く吐くのが癖になっていることが多いですね。
これは息の量を少なくすれば普通に改善するので、
この記事の後半でまとめてトレーニングを解説します。
理由② 仮声帯が邪魔している
声を出すために2枚の振動するパーツ ”声帯”があるのですが、
その近くに仮声帯(かせいたい)というパーツがあるんですね。
で、その仮声帯は声量を増幅させる役割があるので、仮声帯を働かせちゃうと
張り上げになりやすくなっちゃうんですよね。
だから仮声帯が声帯に近づいていかないように、声帯と仮声帯の距離を離してあげればOKです。
張り上げミックスを治す方法
お待たせしました。3つのステップで張り上げミックスを解決していきます。
ステップ① 柔らかい地声でハミング
息を止めた状態で、低音から高音まで小さい地声で柔らかく発声していきます。
【参考音源:小さい地声で柔らかくハミング】
この時一番大切なのは、とにかく声をバリバリさせないこと。
柔らかい声で声を出すことなんですよね。
【参考音源:声がバリバリした例】
このバリバリ音は、さっき説明した仮声帯が動いている音です。これだとダメです。
仮声帯が働くと、声量のサポートをして張り上げになりやすいんでしたよね。
柔らか〜く柔らか〜くいきましょう笑
あともう一つは、高音までなるべく小さい地声で出すイメージを持ってください。
地声と裏声を繋ぐんじゃなくて、高音まで薄い地声で出すイメージです。
そうすることで、声の切り替えは一切必要ないんだなーという感覚を掴みやすいと思います。意識してみてください。
ステップ② ハミングで歌ってみる
ステップ①でうまく低音から高音まで発声できるようになったら、そのハミングのまま柔らかい声で歌ってみてください。
そんなに高い曲じゃなくてもいいんですけど、声が不安定になる中高音域が含まれている曲がベストですね。
「高くて歌いづらいなー」
「声が出しづらいなー」と思う曲をなんでもいいので、チョイスして歌ってみてください。
で、ここで
脱力を意識しするぎると、必要な力まで抜きすぎてただの裏声になっちゃうので要注意です。
今更ですけど、ミックスボイスは完全な裏声ではない声です。
裏声にならない程度に踏ん張る力みは必要です。
ステップ ③ ハミングをやめて、声量を上げていく
ハミングで小さい声で歌えたら、声量を上げて普通の声量で歌ってみます。
ただ、最初からいきなり声量MAXでいくと張り上げの癖が戻っちゃうので
裏声っぽくなってもいいから、最初は普通の声量でいきましょう。
あくまでも普通の声量で、大きすぎず小さすぎず、教科書的な発声でいきましょう。
【参考音源:普通の声量で歌う】
あとは、安定するまで歌い込むのみです。
応用:張り上げミックスにしないで地声感を出すためには?
ときどき、「張り上げミックスを改善する=裏声ベースの弱々しいミックスボイスで我慢するしかないんだ…」
と思ってる人がたくさんいるのですが、全然そんなことないので安心してください笑
張り上げミックスを改善しようとして声量を下げると、確かにどうしても一旦は裏声感が強くなります。
でも張り上げミックスにならずに地声感を出す方法はあります。
それが”壁を押しながら、声を出す”という方法ですね。
重い物を持ち上げる時「うん!!」って大きな声が出ると思うのですが、あれと同じ原理(声帯のくっつきがよくなる)で
余計な力みが入らないで、地声感を出せるようになりますよ。
STEP① 両手をグッと強く押す
まずは、手のひらを合わせてグッと手を力強く押しましょう。
神様に手を合わせる感じでやってみてください。笑
STEP② 両手を押したまま、力強い地声を意識して声を出す
次に、STEP①の両手を強く合わせたまま、力強い地声を意識して声を出しましょう。
最初は、無理のない音域でやってみてください。例えば、G4(mid2G)が限界ならG4(mid2G)以内でやる…といった感じです。
【参考音源:無理のない音域で練習】
STEP③ 下からサイレンで繋ぐ
母音「エ」で、低音から高音まで発声します。
裏声に繋ぐという感覚じゃなくて
地声を無理なく持ち上げる、、という感覚に近いですね。
【参考音源:低音から高音まで繋ぐ】
正直、このSTEP③は死ぬほど難しいのですが、しっかりと練習すればできるようになるので頑張っていきましょう。
最終的には、両手を離しても力強い声を保てるように練習していきましょう。
個人的には、地声感のある高音は時間をかけてでも習得する価値があると思ってます。
やっぱり、地声感のある発声ができると、歌詞がストレートにお客さんに伝わりやすいので、お客さんの心をグッと掴めるので、
さらに歌うことが楽しくなりますよね。
習得できるように、毎日コツコツ練習していきましょう。
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