こんにちは。ボイストレーナーの金子太登です。
今回は、ビブラートの出し方や練習法さらにビブラートを練習する際のコツまで
を大公開しちゃいます!
「ビブラートがかからない…
ビブラートをかけてかっこよく歌いたい!」
そんなあなたの疑問に答えます。
※ボイストレーナーの金子の歌声です。当記事を参考にするかどうかの判断基準としてください。
(音源の最高音は、A4(hiA、高いラの音)です。
目次
1.ビブラートとは
ビブラートとは何かということについてお話します。
1-1ビブラートは一定の周期を保つ声の波
ビブラートは一定の周期を保つ声の波です。
周期の間隔は様々でこれと決まっているわけではありませんが
1秒間に6回ほどが基本です。
(もっと遅くても早くてもそれは好みですので問題ありませんよ!)
1-2ビブラートの仕組み
ビブラートは音程の上下によって生み出される声の波です。
音程をとるために働いている筋肉すなわち輪状甲状筋の
収縮運動によってビブラートは形成されいるというのが
ビブラートの大まかな仕組みです。
[輪状甲状筋の収縮運動]
図解の繰り返しがビブラートということですね。
輪状甲状筋が収縮→甲状軟骨が前に倒れる→声帯が伸びる(=ピッチ(音高)は高くなる)
→輪状甲状筋がの弛緩→甲状軟骨が後方に戻る→声帯が弛緩する
歌手がビブラートをかけているときの喉仏をみると、
ほとんどの場合喉仏(甲状軟骨)が動いているように見えますが
それはこの輪状甲状筋の収縮が原因だったのです。(甲状軟骨が倒れて、戻って…という動き)
2.ビブラートの効果的な練習法とは
ビブラートを習得するために効果的な練習方法をお伝えします。
2-1輪状甲状筋を徹底的に鍛える
輪状甲状筋を徹底的に鍛え上げましょう。
なぜなら、ビブラートは輪状甲状筋の収縮運動なので
輪状甲状筋がしっかりと動かないとビブラートをきれいにかけることは
非常に難しいからです。
輪状甲状筋を鍛えるために有効なツールを音源付きでご紹介します。
[息漏れ裏声「フー!」]
息を漏らした裏声で「フー!」と発声してみましょう。
芯が入ったり強い声にならないことに注意してくださいね!
音域はB3~B4まででお願いシマス。
[息漏れ裏声小声Ver 「フー!」]
息漏れの裏声をさらに小声で行ってみましょう。
小声で行うことで、呼気圧に頼って声帯を振動させることが
できなくなり、もっと輪状甲状筋に負荷をかけることができるからなんです。
ゆえに、普通の息漏れ裏声よりもさらに難しいと思いますが
声帯が勝手にとじて声に芯がでたり、息だけが漏れて声が出ない
ということに注意しましょう!
[息漏れ裏声ナビキVer 「フー!」]
息漏れ裏声でナビキをつけてみましょう!(ナビキとはビブラートをゆっくりにしたものと考えてくださいね。)
裏声にナビキをつけることであえて輪状甲状筋以外の筋肉を動きやすくし、
その中でも息漏れ声を保つ練習をすることでさらに効果的に輪状甲状筋に負荷をかけることができるからですね。
[「無意識の裏声「ホー!」]
無意識で何も考えずに「ホー!」と発声してみましょう。
何も意識せずに発声した裏声で声の様々なことが分かるうえに
輪状甲状筋の強化具合も確認することができるからです。
[無意識の裏声発声でわかること]
・声の混合具合
・輪状甲状筋の発達具合
「声の混合具合がわからん!」というあなたは無料カウンセリングにお越しくださいww(がっつり宣伝)
というのは冗談で、何が混合していて何が混合していないのかというのは
複雑すぎて言葉で説明がつかないのです。
大まかに判断基準を上げるとすれば
息漏れの裏声は発声できない にもかかわらず無意識の裏声はめっちゃ声量でる(キンキンした声の傾向あり)
みたいな状態はかなり地声と裏声が混合している可能性が高いです。
その場合は地声と裏声をしっかりと分離させていくことから始めてくださいね。
2-2ビブラートを裏声でかける
ビブラートを裏声でかけてみましょう。
裏声の筋肉を多めにつかった裏声でビブラートをかけることで
輪状甲状筋の収縮運動をしやすくするためです。
[参考音源:裏声でのビブラート]
あなたにとって一番出しやすい高さ、母音で練習しましょう。
最初はゆっくりと揺らすことから始めて
徐々に揺らす周期を早くしていきましょう。
2-3地声でビブラートをゆっくりとかけてみる
地声でビブラートをかけてみることに挑戦しましょう。
[参考音源:地声でビブラート]
これでうまくいけばそれでOKなのですが、
残念ながらそうではない場合。
いくつか確認してほしいことをまとめました!
[地声でビブラートがかからない場合のチェック事項]
①裏声は低音域まで発声できるか
②ある程度ミックスボイス的な発声になっているか
①裏声は低音域まで発声できるか
裏声は低音域まで発声できるかということを確認してください。
裏声が低音域まで発声できると、多少なりとも裏声の筋肉が
低音域の地声の段階で使われていることが多いからです。
つまり、低音域での裏声かスカスカだったり
全くでない場合、地声と同時に裏声の筋肉が動かないということを
示しているのでビブラートはものすごくかけづらい状態と言えます。
低音域の裏声についても過去記事にしていますので
よかったら以下の記事を参考にして練習してみてくださいね。
②ある程度ミックスボイス的な発声になっているか
ある程度ミックスボイス的な発声になっているかを確認しましょう。
低音域の裏声がしっかりとでていても、ミックスボイスになっていない
可能性はあるので、その意味で確認する必要があります。
ミックスボイスの確認の仕方は過去記事にもしているので
詳しくは以下の記事をご覧ください。
ここでは、ミックスボイスがある程度できているのかどうかをチェックする方法を
簡単にですが触れておきます。
[ミックスボイス確認法]
地声の「ア」からゆっくりと裏声の「ウ」に変化させ、また地声の「ア」
に戻すというエクササイズです。
同じ音程で行うのがポイントでして、基本的にはC4 D4 E4で
発声してみましょう。
[参考音源:ミックスボイス確認法]
2-4曲で使いたい好みのビブラートに仕上げていく
曲で使いたい好みのビブラートに仕上げていきましょう。
当たり前ではありますが、最終的には曲の中で
ビブラートを扱うからですね。
・小刻みにビブラートを揺らして「いかにもビブラートをかけてます!」
といった雰囲気にしたい
・緩やかにビブラートをかけることで、自然に曲をワンランク上のものにしたい
さまざまな好みがあって、どれも素晴らしいと思います。
何が良くて何が悪いといったことはないので
あなたの好み×あなたに合ったビブラート といったところを
しっかりと練習して探ることで
あなただけのビブラートを習得することができます。
3.ビブラートをかけるときのコツとは
ビブラートをかけるときのコツ・考え方についてお話していきたいと思います。
3-1.無理な音域で練習しない
無理な音域でビブラートを練習することはやめましょう。
発声しづらいと感じている音域では、すでにビブラートをかける余力は残されていないからです。
ちなみにこれは歌唱時でも同じことが言えます。
3-2.ビブラートの幅を広げる努力をする
ビブラートの幅を広げる努力をしましょう。
様々な幅のビブラートをできるように練習することで
実際の曲の様々な場面でビブラートを使い分けられるようになっていくからですね。
例えば、しっとりとしたバラード曲で
フレーズの語尾にめっちゃくちゃ素早いビブラートってなんか違和感ありません?(笑)
またその逆もしかりです。
ゆっくりとしたビブラート
早いビブラート
ウィスパー気味のビブラート
などさまざまなビブラートを扱えるように練習していきましょう。
4.ビブラートについてよくある誤解
ビブラートについてよくある誤解をときます!
4-1.ビブラートを喉でかける VS 腹でかける
ビブラートを喉でかけるか腹でかけるかという問題がありますが
これに対する結論は1つでして
喉(正確には輪状甲状筋の収縮運動)でかけたビブラートによって
腹圧を一定の周期で感じるということです。
ようは喉でかけるってことですw
喉でかけるけっかとして人にもよりますがたいてい腹圧を感じるので
お腹でかけていると感じる人もいますよということですね。
4-2 ビブラートは全く意識しなくてもかかる
ビブラートは全く意識しなくてもかかるという説がまことしやかに
ささやかれていますが、それはありえません。
お伝えしましたように、ビブラートとは輪状甲状筋の収縮運動ですので
そこを動かすには必ず「意識」が必要だからです。
しかし、おそらくその説を唱えた先人はこう言いたかったのだと
僕は解釈しています。
「ビブラートを軽く意識するだけでかけられるようになるよ。」
これなら僕もそういった体感がありますし
実際にビブラートの上手な生徒さんからも
同じような体感を覚えるとききますので
同意できます。
反対に意識しないでビブラートがかかってしまう
場合は声の混合状態を疑ったほうがいいです。
声の混合状態については以下の記事が役立つと思うので
ぜひ参考にしてください。
4-3ビブラートには腹式呼吸が必須である
ビブラートをかけるには腹式呼吸が必須であるといった考え方も
僕は否定します。
発声の問題は喉で起きているため、声帯周りの筋肉の調整をすることでしか
その問題を解決することは不可能だからですね。
(腹式呼吸が発声の改善に役立たないことは
過去記事にまとめています。以下の記事をぜひご覧ください。)
今回で言えば「ビブラートを意識してもかけることができない」
という問題です。
この記事で何度もお伝えしています通り、ビブラートは
輪状甲状筋の収縮運動なので
そこに呼吸法云々が入り込む余地はありません。
よってビブラートに腹式呼吸・腹式発声が必須ではないといえるわけですね。
4-4ビブラートは喉によくない
ビブラートが喉によくないのではないかという質問をよく受けますが
そんなことはありません。
ビブラートはあらゆる喉の運動の1つの形にすぎなく
喉が自由になってさえいれば極端な話
がなり声でさえ一つの発声の形になるのです。
ビブラートに限らずあらゆる声を受け入れ、
正しく練習することで
喉はさらに自由になっていくということを覚えておいていただきたいです!
5.ビブラートをかけることによるメリット・デメリット
ビブラートをかけることによるメリットやデメリットについて詳しくお話していきます。
5-1.ビブラートをかけることによるメリット
ビブラートをかけることによるメリットは
ロングトーンなどでビッチ(音高)が安定する(実際には安定して
聴こえる)
ということが挙げられます。
通常のビブラートがかかっていない発声では
基本的にピッチが合うか合わないの2択に近いところがあります。
しかし、ビブラートがかかっている場合、例えばロングトーンなどで
多少音程がずれてもビブラートの波はそのずれよりも大きいので
言い方は悪いですがごまかすことが可能となります。
5-2.ビブラートをかけることによるデメリット
ビブラートをかけることによるデメリットも確かに存在すると考えています。
①人によっては個性にかける歌い方になる
②ビブラートが早すぎたり遅すぎたりすると個性となる反面好き嫌いを生む
③ビブラートが習熟していない段階で曲に使う場合、高確率で他のことがおろそかになる
①人によっては個性にかける歌い方になる
人によっては個性にかける歌い方になる場合があります。
ストレートに歌うことで相手の心に刺さる言葉を
ビブラートをかけたばかりに「なんか違う…」となることがありますよね。
こればっかりは本当に人それぞれ違うので
あなたの歌い方や声質にビブラートが合うのかどうかを真剣に考える必要は
ありますね。
②ビブラートが早すぎたり、遅すぎたりすると個性となる反面好き嫌いを生む
ビブラートが早すぎたり、遅すぎたりすると個性にはなるものの、その代わりリスナーの好き嫌いを
分ける大きな要因となります。
ビブラートが小刻みに早くかかっている歌い手に対して「カッコいい!!」
と思う人間もいれば「わざとらしい!!」と思う人間もいますもんね。
③ビブラートが習熟していない段階で曲に使う場合、高確率で他のことがおろそかになる
ビブラートが習熟していない段階でビブラートを曲に使うと、高確率で他のことがおろそかになります。
例えば以下のようなことが起こります。
・ベストな声質を保てない
・ビブラートをかけやすい母音に勝手に調整した結果、聴き心地が悪い歌になる
「ビブラートを曲中に取り入れていい!」と自信をもって言えるまでは
ビブラートの練習に徹しましょう。
6.ビブラートが上手な歌手をご紹介します
個人的にビブラートが上手だと思う歌手をご紹介します。
6-1堂珍義邦さん
このブログおなじみ(失礼)CHEMISTRYの堂珍義邦さんですw
発声自体がとても理想的なのですが、ビブラートも自然にかかっている良い例だと思います。
ただ、僕が以前聴いたビブラートを多用している動画がニコニコにしかなかったので
こちらを載せました。がしかし、この動画ではそこまでビブラートをかけてないという…w
すみません!(笑)
気になる方は、ニコニコ動画で「最後の夜」と検索かけてみてください!
6-2ブライアン・マックナイトさん
いきなり超大物感がすごいのですが(笑)ブライアンマックナイトさんの
ビブラートも神がかっています。
とくに1:17からの裏声のビブラートは早くもなく遅くもなく
きれいなビブラートですよね。
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最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
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