こんにちは。ボイストレーナーの金子太登です。
エッジボイスの練習を続けているけれど、高い声が出ないです
裏声にエッジボイスを混ぜればミックスボイスになりますか?
こんな質問を読者さんからよくいただきます。
ですが、結論から言ってしまうと、エッジボイスをどんなに訓練したとしても、
楽に高い声を出せるようにはならないんですよね。
そこで今回は
エッジボイスで高音が出ない理由と、
本当の意味で高音を楽にに出すための3ステップ
を解説します。
では、いってみましょう!
目次
1.エッジボイスと高音は関係ない
さっそく結論なのですが、エッジボイスは高音に関係ありません。
エッジボイスで働かせることができるのは、声帯を閉じる地声の筋肉です。
高音を発声するためには、声帯を閉じるのではなく、声帯をピンと引っ張る必要があります。
(輪ゴムをピンと引っ張ると高い音が出ますよね。それと同じ原理です。)
ですので、声帯を閉じようとするエッジボイスのトレーニングは逆効果になることもありますので、
注意してくださいね。
1−1.補足理論解説:エッジボイスで働く筋肉
(※エッジボイスで働く筋肉や、その位置について詳しく知りたいあなたは、この章をご覧ください。
そうでないあなたは、具体的な対策法を解説しておりますので、この章を飛ばしてください。)
【図解解説:声帯を上から覗いた図】
参照:onamomi22.com
エッジボイスを発声することで、働く筋肉は赤囲みで示した、地声系の筋肉の1つである外甲状披裂筋です。
この筋肉は、青囲みで示した筋肉である内筋(内甲状披裂筋)をサポートする役割を果たしています。
あくまで、メインは「地声らしさ」を形作る内筋であって、それをサポートするサブの地声の筋肉が外筋というわけです。
こうして知識を得ると、声帯を閉鎖する筋肉なのだということがよくわかり、エッジボイスでこの筋肉を鍛えても高い声は出ないことがわかりますね。
(※高い声を出す、つまり声帯をピンと伸ばすために必要な筋肉が茶色の枠囲みの輪状甲状筋と後筋です。)
ミックスボイスを習得するための3ステップ
ここからは、本当の意味でミックスボイスを習得していくための3つのステップを解説していきます。
もちろん、ここで解説するのは着実に成果を出すための正攻法です。
きちんと実践すれば確実に結果が出ます。
だからこそ
「一瞬で!ミックス!」とか
「1日でできるミックス!」
みたいな小手先のコツは紹介しません。全然効果がないので。
そういうコツで成長できないのは分かっているかもしれませんが、そういうのを探している方は別のサイトを探してみてください。
ということで、本気でミックスボイスを習得したい人はこの先も集中してみていってくださいね。
STEP①地声と裏声を分けよう
まず最初に、地声と裏声を丁寧に分けて発声できるようにしていきます。
「いや、地声と裏声が分かれているから困っているんだ!」と思うかもしれないですが、
実はほとんどの人が、地声と裏声がごちゃごちゃに絡まった状態になっていて、綺麗に切り離して発声することができないんですね。
- 地声を出そうとしても、裏声が混ざってしまう
- 裏声を出そうとしても、地声が混ざってしまう
こんな状況にある方が多いんですね。
【図解:地声と裏声が絡まった状態】
だからこそ、いきなり地声と裏声を混ぜようとするのではなくて、地声と裏声をちゃんと徹底的に分けるようにしましょう。
100%の地声
まずは、100%の地声を出してみましょう。
普通に「ア」と地声を出すだけでOKです。出しやすい音域で出してみてください。
【参考音源:100%の地声】
この時、息が漏れたりしないように注意しながら力強い地声を出してくださいね。
100%の裏声
次は100%の純粋な裏声ですね。
純粋な裏声は息がたくさん漏れた裏声です。
「フー」と息を漏らして発声してみましょう。出しやすい音域でOKです。
【参考音源:100%の裏声】
こんな感じで、地声と裏声を徹底的に分離すると、のちのち地声と裏声をミックスさせやすくなるので、
面倒なんですけど、ちゃんとやっておくことをオススメします。
STEP② 地声と裏声を鍛えよう
STEP①で分離した地声と裏声を丁寧に育てて強化していきます。
ふつうは、地声と裏声の筋力バランスに差がありすぎるので、
それを同じくらいのバランスに整えてあげる必要があるんですね。
【図:地声と裏声の筋力バランスが悪い】
地声と裏声のバランスが悪い状態ですね。
【図:地声と裏声の筋力バランスが良い】
(トレーニングによって、地声と裏声のバランスが取れた状態です。こっちを目指していきます。)
地声と裏声の筋力バランスが整うと、これまたのちのち地声と裏声を混ぜやすくなるので、
ちゃんと鍛えておきましょう。
地声を鍛える
まず地声です。地声を徹底的に鍛えていきます。
変な薄っぺらい声で「イ」と声を出してみましょう。
【参考音源:薄っぺらい変な声で「イ」】
裏声を鍛える
次に裏声ですね、これはシンプルです。
何も考えずに、何も意識しないで裏声「ホー」と出してください。
え?何も考えないの?と思うと思うんですが、
そのままきちんと継続していけば、裏声は徐々に力強く声量も出るようになってきます。
【参考音源:何も考えずに裏声を出す】
じっくりと裏声が育つのを待ちましょう。何も意識しないのがポイントです。
SETP③ 地声と裏声を混ぜよう
最後はいよいよ、地声と裏声を混ぜていきましょう。
今まで整えてきた素材を使って、ミックスボイスのトレーニングをしていきます。
そうすることで、低音から高音までひっくり返ったり張り上げたりすることなく歌えるようになります。
本当にたくさんのトレーニング方法がありますが、ここでは分かりやすい方法を1つ紹介します。
地声と裏声を混ぜるトレーニング
小さい声で地声を出します。
小さい声で地声を出そうとすると、どうしても裏声になりがちなんですが、
そこをちゃんと我慢して小さい地声で踏ん張るイメージです。
【参考音源:小さい地声】
出しづらいちょっと高めの音域でやるのがポイントで、
C4〜E4(真ん中のドレミ)あたりでやるのがオススメです。
これができたら、徐々に声を大きくしていきましょう。
【参考音源:声を大きくしていく】
苦しくならず、裏声ではない声で出せていればミックスです。
感覚的には、軽い地声といった感じですね。
とはいえ今できなくても全然問題なくて、ちょっとずつ仕上げていけばOKです。
コツコツ、自分だけのミックスボイスを完成させていきましょう。
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